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 大手電機メーカー●●が開発した瞬間移動機の新商品「どこでもドア」による事故が多発し、全国のユーザーに波紋を呼んでいる。同商品は、20世紀の漫画『ドラえもん』に登場する同じ名称の道具にあやかり、同漫画に登場するネコ型ロボットの誕生年とされている2112年の年明けに合わせて発売された。20世紀後半から21世紀初頭にかけて日本全国に見られた「オタク」と呼ばれる漫画・アニメの熱狂的なファン集団の行動様式を専門とする●●大学文学部日本文化学科の●●准教授から企画を持ち込まれ、同社では、漫画文化の隆盛が過去のものになったとはいえ、ドア型の装置をくぐって移動するという古典的な様式がかえってヒットすると見込んで商品化を決定、「どこでもドア」という耳慣れない商品名の知名度を上げるべく大物タレントを起用した宣伝戦略が駆使され、同商品は鳴り物入りで年始の発売を迎えた。

 「どこでもドア」は、従来の瞬間移動機と異なり、ノブ部分にワイヤレスの脳内センサを有し、ユーザーの行きたい場所を感知することによって行き先を決定する仕組みを取っている。そのため、ユーザーの希望次第で潜在的にはどこにでも行くことができる。海外でも、『ワンピース』等のいわゆる日本アニメの古典作品のファンが多いフランスのメーカー等を中心に同様の企画が温められてきたが、ビザの必要性や滞在期間の制限等、他国の領事当局による規制が開発の障害となってきた経緯がある。「どこでもドア」は、アジア地域第6位に落ち込んだ我が国経済の再興の起爆剤として、約1兆円の開発費の投入を始めとする政府の全面的支援を受け、新たに開発された各国のビザを読み取る小型リーダーを内蔵し、ビザが必要な国には有効なビザを登録しないと移動できないシステムを導入。これにより、すべての国の領事当局から了解を得ることに成功し、今回の製品化に漕ぎ付けた。

 しかし、ビザに記された滞在期間を過ぎると滞在国から出られなくなる仕組みが十分に周知されていなかったため、滞在期間満了後に旅行先で足止めを食らうユーザーが続出。年始に発売されたため、正月休みを使ってこれまで日本人の旅行先としてメジャーではなかった秘境を訪れたユーザーがその大半を占め、在外公館や保険会社によるサポートも追いつかない状況が続いている。これを受け、外務省では、領事局内に「海外滞留邦人支援本部」を急遽設置し、約100名の職員を動員して事態の収拾に当たっている。

 また、従来の瞬間移動機のように住所を登録して行き先を決定するシステムを内蔵していないため、自宅の様子を客観的にイメージすることができず、同商品を使って自宅に戻ることができないという人も続出。その数は、発売から2週間で約900人に上ると見られており、メーカーは対応に追われている。第1開発部の●●主任(35)は、「最も多くの時間を過ごす自宅の様子を想像できない人がいるということは想定していなかった。」と話すが、代わりに用いられた交通機関にかかる費用、帰宅するために購入された従来型の瞬間移動機の費用等をユーザーとメーカーいずれが負担することになるかは不透明な状況で、週明けにも一部のユーザーが損害賠償を求めてメーカー側を提訴するものと見られる。

 一昨年、『ドラえもん』に登場する「翻訳コンニャク」が●●食品と●●英会話学校により新たに設立された合弁会社から発売され、同商品をのどに詰まらせて死亡するケースが相次いだのは記憶に新しい。さらに2103年には、●●パンが、同じく『ドラえもん』に登場する道具から「アンキパン」と呼ばれる短期記憶サポート食品を商品化し、発売直後に行われた大学入試センター試験で満点を獲得する受験生が続出、選抜試験として機能しなくなるという事件が起こっている。それを受け、翌年からは情報の暗記に頼る大学入試制度の改革が行われ、結果として迅速な制度改革につながったという声も強いが、社会混乱を招いたメーカーの責任、文部科学省等関係省庁と連携せずに同商品を認可した当局の責任は大きい。

 古く20世紀に漫画に登場し、当時は夢の道具とまで謳われた商品たち。漫画によれば万能のネコ型ロボットまで登場しているはずの2112年を迎え、そのうちのいくつかは現実に開発されるに至ったが、残されている課題は少なくない。
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